よろず夜話

軍事や自衛隊を多めにしつつ色々な話をするブログ。話の正確性は6割ほど、力を抜いた話ができるようにしたいです。アイコンは陸上自衛隊HPより引用

無人兵器は自衛隊を救えない②

自衛隊無人機を導入することで現在の問題を解決できる救世主になるのか?と言うことを前回話しましたが、今回はその続きになります。

 

strider1.hatenablog.com

 さて、今回はその救世主にはなれない二つ目の理由を話そうと思います。その前にこれから話すことは比較的近未来までの問題点になると言う認識に近いです。

無人機に限らずAIの発達で高度な自動化が世の中で期待されているのですがこのAI技術の発達はおよそ2040年前後と言われ、実際に防衛省のUAVの開発ロードマップとある程度合致するところになります。

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防衛装備庁より

これはUUV、UGV、USVも同様の開発ペースになると思われます。この問題としては有人兵器と同等に直接的な防衛力の貢献には現在から10~20年先まで待たなければなりません。現在一部の方々は既存の戦闘機、戦闘ヘリ、戦車などの有人兵器の代替品として期待してますが、自律的で人間と同じ水準以上のものが出るのはそれなりに先ですから現状の打開策としては意味を成しません。どのみち直接的な防衛力の貢献になる無人兵器は現状として少なく、日本が買えるものとしては米国製もしくはイスラエル製くらいで、UGV、USV、UUVに関しては西側で戦闘用として正式に活動しているものは現時点で存在しません。そしてこのロードマップもあくまで予定でしかなく、実際にはさらに延びる可能性もあります。当然ながら今後の防衛力整備には無人兵器は必要なものですが、如何せん博打になるので将来的な防衛力整備を無人兵器にかけるのは現実的ではありません。

 

三つ目としては一つ目に少しかかるものなのですが、防衛予算の観点です。2019年度の防衛予算はおよそ5兆円。現在の政権になってから年々増加の傾向とはなっていますがこれからの高齢化社会において現在よりも大幅な増額は望みにくいです。となると、配備や整備数も未来に求められる自衛隊の規模を大きくできるとは考えにくい。国産ステルス機計画や大型艦船の建造、イージスアショア導入の計画が現在ある以上今後数十年は有人兵器は残り、配備・増備されるわけです。つまりは無人兵器に予算を全振りできないので今の自衛隊の規模を十分に維持、拡大するほどの予算を無人兵器向けに確保できない可能性があると言うことになります。他の兵器も高度化・高機能化することで値段が上がる可能性が十二分にあり得る以上、自衛隊の規模拡大の目的として無人機を導入することは現実的でないと考えるのが妥当と言ったところです。

さて、今回はここまで。投稿期間が空いてしまったのは申し訳ないです。