パンデミックの時の軍事的活動
コロナウイルスの拡大が続き一寸先ですら見えない状況ですが、そのような状況でも軍事の世界では活動が止まるということはありません。そこで今回は少し気になった軍事的な活動を話そうと思います。
ロシア
3月27日にはロシア海軍が対馬海峡から日本海へと進む姿が海上自衛隊の哨戒機P-3Cが確認しています。
https://www.mod.go.jp/js/Press/press2020/press_pdf/p20200327_02.pdf
ロシアの活動に恐怖する方や実力行使を求める声がtwitterだとおりますが、国際海峡の通航は国際法上合法ですし、国際海峡の通過は中国・ロシア共に一年を通して恒常的に行われています。
そして、よく消える視点ですが当の日本も軍艦の通過を監視する軍事行動を執っているのです。変な話ですが、最悪これを軍用機でなくとも通過の確認は取れるのです。それをわざわざ軍用機で行うことに疑念を持つことも時には必要だと思います。さらに、日本も艦隊を常に一つ哨戒任務に就かせて時に公海上で訓練に出かけます。
もちろん、一昨年の韓国からのレーダー照射のように相手から攻撃行動を取られることがあり得ること、軍事情報は軍事関係の知見がないと識別が困難であることから自衛隊が行うことは当然です。その一方で相手国の軍事的な活動が常に行われることも当然ではあります。どこの国でも常に戦争やテロの危機は消えないからです。したがって、ロシアの行動に必要以上に過敏な反応をする必要はないのです。今回を見ると日本海に航行しているので活動を終了しようとしているので特に大きな必要はないと考えます。
なお、3月26日に中国も活動していますが同様に過敏になる必要はないです。
北朝鮮
3月に入ってから4回も弾道ミサイルを発射している北朝鮮ですが、これは会談したいことや支援を求める(一部からは構って欲しいと言われている)ために行なっている訳ではないと思います。これは衛生環境が中国や韓国よりも悪い北が即応体制を失うような混乱が起きている訳ではないということを示すために行なっていると考えられます。
体制が脆い国である以上、行動を示して金正恩指導体制が盤石であることを示す必要がある訳です。
なので今回に関してはミサイルの能力を示したり、攻撃の意思などを強く持っているとは考えにくいと思います。とはいえ、この一連の行動は国連決議違反なので我々は厳しく対応をしてかなければなりません。
今回のコロナウイルスのパンデミックでも各国の思惑が交差し、時にはよくわからない行動を取るかもしれませんが、そんな時でも冷静に注視して見るとちゃんと意味があったり、特別変なことをしている訳ではないことがわかると思います。
自分の考えが間違っているかもしれませんが、何かのきっかけになれたらと思います。
米陸軍のJMR/FVL
コロナウイルスは落ち着いたのか、二番底がまだ控えているのかわからなずお出かけの予定が組めないままになっていますが皆さんはどうでしょうか。
今回は現在アメリカ陸軍で行われているJMR/FVL(統合多用途・将来型垂直離着陸機計画)の選定に参加している2つの機種のお話をしたいです。
JMR/FVLとは?
そもそもとしてJMR/FVLとは何でしょうか?現在のアメリカ陸軍はAH-64アパッチ、OH-58カイオワ、CH-47チヌーク、UH-60ブラックホークを中心に運用しています。
おそらく、検索していただければわかると思いますがどの機体も映画やゲーム、漫画、アニメでどこか見たことがあるのではないでしょうか?特に画像を掲載しているUH-60は映画「ブラックホークダウン」で有名になったのではないでしょうか。まだ見てない方はぜひ見ていただけると現代の市街地での戦闘の雰囲気を感じることができます。
さて、話を戻しますとこれらのアメリカ陸軍のヘリコプターは冷戦、その後のイラク戦争も活躍しました。冷戦が終わってそろそろ30年が経とうとしてます。そしてこのヘリのいくつかはベトナム戦争時に初飛行・実戦を経験しているのです。つまり何が言いたいのか?
陸軍のヘリはどれも古く、時代遅れになりかけている。
ということです。
ここでよく理解されている方は思うでしょう。アメリカ軍のヘリは今もどれも一線級であると。それも正解です。ですが、元型が初飛行して50年、下手したら60年以上前の機体にこれ以上の拡張性が得られるか?という問題が出てきます。周りを見ますと、欧州はNH-90などの新型ヘリコプターを21世紀に入ってから導入し、中国はZ-20を例にするようにアメリカをお手本とする機体開発を進めています。もちろん、米国のヘリも機体の内部更新をして水準の維持していますが元の設計年数の差が生むハード面、ソフト面の限界が当然出ます。
さらに、米軍はイラク戦争を通じて現用のヘリコプターそのものに疑問を感じました。
ヘリコプターは確かに便利なのですが、いずれも速度が遅く、航続距離が短い。その上整備性は固定翼機に負けるのです。
これではヘリには良いことなしになっていしまいます。陸軍としてはこちらの理由が結構堪えたようです。
そんな中で登場したのが、JMR/FVLです。
JMR/FVLは複合ヘリ、またはティルトローターを使用した既存のヘリよりも長い航続力、速い速度を出せる新たなる回転翼機を複数導入する計画です。
この計画で今のところ機体を用意している参加企業はベルとシコルスキーの2社となっています。かつてはエアバスも名乗りを上げていたのですが、知的財産権などの問題から辞退しています。
ベルの提案している機体はV-280 ヴェイラーというティルトローター機で巡航速度はMV-22などと同じ520km/hと速く、A-10やスーパーツカノなどの固定翼機と随伴することができます。ただし、ティルトローターですので低速域は苦手なのではないかと言われています。
もう一つのシコルスキーが提案している機体はSB-1ディファイアントという機体で、こちらは複合ヘリと呼ばれる機体で、二重反転プロペラと推進用のプロペラを使うことで従来のヘリよりも高速かつ、遠くへ飛ぶことができます。
ただし、ティルトローターよりも従来のヘリコプターに近い存在なため、速度・航続距離共にV-280よりも劣る存在になります。しかし、前面投影面積がV-280より小さいため被弾のリスクは小さく、枯れた技術を使うため開発予算などが安いというメリットもあります。
実際のところ、JMR/FVLの一端であるFARA(将来型攻撃偵察機)ではV-280を推すベル社も複合ヘリを開発して採用競争に参加するので戦闘ヘリに関してはシコルスキー側の言い分には一定の説得力があります。
一方で、JMR/FVLは大型のCH-47やC-130輸送機も置き換える重量級も視野に入れているためそちらはより速度の出やすいティルトローター方式になると思われます。
HMR/FVLをざっと見ていきましたが、いかがだったでしょうか。この計画は陸自の凍結している次期主力戦闘ヘリの導入などにも影響を与えることになるでしょうから、この計画の動きには注目していきたいところです。
コロナウイルスから見えること
コロナウイルス以外のニュースが大して流れることがなくなり、ネタがあんまり考えられない状態になっている管理人です。
今回はそのコロナウイルスから見えることをほんの少しだけ書こうかと思います。
ご存知の通り、コロナウイルスの猛威はアジアからヨーロッパの方に移りつつあり、中国の感染者数とそれ以外の国の感染者数が逆転したというニュースが流れました。
特にイタリアで脅威となっており、致死率も他国よりもかなり高い水準になっております。
一方、我が国はクルーズ船において初期対応の不備を指摘されましたがその後は急激な感染は起こらず、今では中国を除いた国の中では感染者数は10位を下回るほどにペースは遅いものになりました。
結果論ですが、日本の施策は概ね間違いではなかったのではないでしょうか。今も不満が散見する全国の一斉休校ですが、足立区での家庭内の感染が発生する以上、発症なしでも保菌者(ウイルスなのに保菌なのが不思議)になるので学校教員の感染クラスタが発生すると社会的な影響が大きなものになります。実際に群馬県や大阪では保育士が感染し、利用者間で不安感が醸成されたという話を聞いたこともあり子供が関連する施設での影響は大人のそれとは異なるのかなと。
また、感染者が発生した場合には濃厚接触者も隔離せねばならず、少子化とはいえ多くの人がいる学校では対象者が多くなりすぎて病院がパンクするのではないのないかと思われます。。
社会人も大規模な感染を防ぐためにテレワークや時間をずらした通勤時間の設定を促すなど、多くの人が密閉された空間にいることを避ける取り組みをしています。これは単純な職場の云々以外に満員電車を減らすことに貢献しています。あいにく、私は東京に今はいないので東京のラッシュがどうなっているのかは存じませんが自分の住んでいる地域では少なからず効果はあったと思われます。
ちなみに強制的に満員電車を制限した場合には駅に乗せられなかった乗客が溜まり、却って感染を生み出す可能性もあり制限の強制は避けているのもよかったのではないかと思います。そして論議される移動制限ですが、憲法には移動の自由が存在する以上むやみに行うのは前例がない以上躊躇されて然るものなのかと思われます。
少し説明不足ではありますが今回はこのくらいで
河野防衛大臣 自衛隊のパワハラ対策を厳格化へ
すっかりコロナウイルスの話題が巷に溢れることになりましたが、書きたいことはあるものの知識が全くその分野はないので法律読んでテキトーすぎることを言うのは避けたいなと思います。まぁ、ざっくり言いますと行政もやれることは現行法ではかなり限界がありますよーと言うお話です。
さて、本題になりますが河野防衛大臣は自衛隊のパワハラの処罰規定を厳罰化し、またパワハラの基準の見直しを行うとされました。
河野防衛大臣 自衛隊“パワハラ”処分を厳罰化 https://t.co/5Rd9k7Q4KL
— 河野太郎 (@konotarogomame) 2020年2月29日
現在の自衛隊のいじめ・パワハラはいくつか本にでるほどであり、直接の関係がある訳ではないですが自殺率も国の機関の中でも特に高いものになっていました。公務員自体が自殺に陥りやすい職業であるにも関わらず、その平均よりもはるかに高いと言う事態になってしまいました。
現在の就職においてパワハラが横行するのはそれだけで選択肢から外れる状況になりかねないほどのマイナスな存在となっています。具体的な詳細は記事の方を見ていただけると嬉しいですが、全体的に処罰の謹慎期間が長くなることになりました。
自衛隊は中の人がどう思うかは分かりませんが、一般の人からするとやはり厳しいイメージが付き纏う状況で、その改善を計るための動画を作成するなど自衛隊のイメージ刷新を行う活動をしていました。
この手の話でよく出てくる反論としては軍隊は命が関わるから厳しいのは当たり前、パワハラはあっても仕方ないと言う意見です。
確かに軍事組織は命のやりとりをするもので時には厳しさも必要ではあります。しかし、それがパワハラをしても良いと言う話には繋がらないと思います。欧州を中心とした他国では軍事オンブズマン制度が存在し、いじめやパワハラに対してオンブズマンが機密情報含めたものを全て見れるほどの権力を持ち、軍人の待遇の改善やいじめ防止を努めています。この制度を採用している国はロシア・ドイツ含め多くの国が採用しています。軍隊であっても現在の潮流としては厳しくてもしょうがないと言うことはありません。戦前の日本でも一時期ダルトン式教育法が採用され、その当時にしては画期的で体罰がない教育方針でした。その教育制度の成果は新たな戦術が採用されたりと日本軍の革新を進めることができました。
勘違いされる方がいますが理由がしっかりあり道理として合理性があるものはパワハラにはなりません。遅刻グセの人を叱るなどがその一例です。それとパワハラ・いじめは別です。
なぜか戦前・体育会系の悪い部分を賛美される方がいますが、不要な叱責は個人の能力を下げる結果になり組織に脆弱性を作ることになります。命のやりとりをする、下手をすればみんな死ぬ可能性がある組織でわざわざ個人の能力を下げることをやる合理性が見られません。
ブラック企業が問題になっている世相の中でいじめ・パワハラ・自殺がたくさんでる組織の存在をなくすように努めている時にパワハラを寛容する組織があるのは問題と考えます。現状、米軍でもオンブズマン制度を持つなど過ごしやすい組織作りをしている状況で、日本だけがいつまでも緩い対策をしている現状では組織はなりたてないでしょうし、パワハラがなくても強い組織になれるならそれに越したことはないでしょうか。
自衛隊のサイバー対策
steamでゲームを買えるようになって久しいですが、steamで買えるゲームというかパソコンゲームは高いモデルじゃないと遊べないイメージのせいでなかなか手が出せていない最近です。
さて、今回は自衛隊のサイバー対策と書きましたが、工科学校にサイバー専門コースができますよーというニュースに沿っていこうかなと思います。
サイバーの強さ
多分ですが、何してもコンピューター上のシミュレーションでしか内容の結果が見れないなどもあって、戦争形態の中で一番地味だと思います。
上の画像はおそらくわかりやすいように図示されていますが、実際にはもっと地味な絵面になるのではないでしょうか。実のところ、陸上自衛隊が令和2年1月1日に投稿した自衛隊の任務の説明動画ではサイバー、宇宙、電子の3つが新たな戦場となることを最初に伝えたにも関わらず、PV内では大した説明もなくそれら3つとは異なる既存の脅威に対しての対策を描くに止まっています。
残念ながら、これから重視される戦場は砲弾も飛ばず、直接的な被害によって人が死ぬと言うことは滅多にありません。そして何より目には見えないものが大半なので何をしているかは常に説明せねばならず、また説明しても地味なことは何も変わらないのです。ということもあって陸自のPVでも扱いが悪いものだったのでしょう。
しかしながら、北・中国・ロシアは北・中国はサイバーで圧倒的な規模を誇り、ロシアは電子戦において米軍を凌ぐ能力を持っているとされています。これらの脅威の凄さは核兵器なしに圧倒的効果を発揮します。むしろ、反撃手段を全て奪うこともできる点においては核兵器のような戦略兵器を上回ります。米軍・自衛隊などの西側諸国系の強みは高度なデータリンクと強力な空軍力です。それらは全て軍の情報ネットワークと電子空間の制圧によって初めて他国を圧倒できるわけです。
これが欠ければその圧倒的軍隊は圧倒的では無くなります。なんらかでデータリンクが切れると戦闘機や戦闘艦は見えない位置からの敵の存在に気づけなくなり、地上部隊は誤射を併発する可能性が高まります。
無論、自衛隊もデータリンクに依る効率的な戦闘スタイルを構築線としているのであり、データリンクの無力化は現実的な脅威になります。
そんなこともあって、今回のサイバー分野における教育コースの設立は自衛隊側の意気込みを感じるものがあります。当然ながら、データリンク関連以外にも情報漏洩を防いだり、逆に敵のネットワークや情報を奪うことにも利用できるサイバー空間はかつて壮絶な諜報戦繰り広げたベルリンの現代版であると言えると思います。そんな訳で今回はここまで
ゲームの今後の記事について
今年も知らぬ間に一月が終わり、二月も半分を過ぎ去ってしまったという実感が湧かず、時が経つスピードに圧倒されています。
さて、今回は記事の配分について話そうと思いまして、このブログを開設してからほとんど軍事系の話ばかりしているなと感じゲームの方にも手を出そうといくつか出してますが、これからちょっとゲームの方の割合も少しばかり増やそうかなと思います。
理由はそんなに大したことはないのですが、軍事同様にゲームの話ってtwitterでは文量が足りなくてTL占拠したりしてあんまり細かいこととか書けないんですよね。軍事よりも水物な部分がありますが、先日のNieRみたく旬が過ぎ去り乾燥してカピカピになったような話ができるメリットもあるので。
にしても、考察サイトなんかは普段見ないので書いたことが当てずっぽうだったりn番煎じにはなるとは思いますが暖かく見守ってください。ま、このブログのコンセプトは正確性は6割といった感じなのでどうかご容赦を。
それと、いつかになるかはわからないですがいつか交通系や他の社会問題とかも扱うかもしれないです。ただ、できるだけ左右対決などの政治性の高い内容にするのは避けようと思います。読まれる方も望んではないでしょうし、自分も煽られたり、攻撃的なコメントは欲しいとは思わないので。とは言え、企画として政治性の高いものは少しやるつもりなのでその時は苦手な方は回避できるようにタイトルに入れようかなと思います。
そんな訳で今回はここまで、最後までありがとうございました!
病院船導入を検討…?
最近長めの記事を書くことが増えましたが、少しだけ短い方がいいんですかね?要点だけを絞って話すと言葉足らずになりそうですが、はてさて…?
さて、今回は自衛隊というよりは大臣たちからの検討事項となり始めている病院船についての話題です。
日本での病院船は旧日本軍では海軍とともに陸軍で多く運用されていました。
その多くは商船改造であり多くは撃沈するなど激しい任務でありました。
自衛隊が持たない理由
現在の自衛隊では一切専任の病院船を所持していません。というのも、病院船は普段ではあまり実用的とは言えません。大型の船舶に任務の都合上大きくなりやすいにも関わらず、国際法により最低限の小火器を除き非武装、軍事的活動への投入を禁止、他国への船舶情報の通知などが必要になるので逼迫している自衛隊が通常の哨戒任務に使えない船舶を持つのは非常にコストパフォーマンスが悪いと言えます。
これは1949年に締結されたジュネーブ第二条約の22条、26条、34条、43条に記載されています。
その代わりになりますが、補給艦や輸送艦、大型のひゅうが型やいずも型護衛艦は病院船的な能力を保有しています。しかし、能力としては病院船ではないのであくまでついでに留まります。そのため現在他の自衛隊が持つ手術コンテナを積載し、病院船能力を上げることを想定していました。
他国の状況
病院船は現在のところ、アメリカを含む比較的軍事力に余裕のある国や災害などが多い国での運用が目立ちます。
現在の保有国はアメリカ、ロシア、中国、フランス、インドのような軍事大国に加えてブラジル、ペルー、インドネシア、ベトナムが軍用船舶として保有しています。
マーシー級は1000もの病床、12の手術室、CTスキャナーなどを持つ病院船で世界最大の病院船となります。そのトン数は約7万tにもなり、これは自衛隊のどの艦船よりも巨大な艦船になります。
他国では中国の920型(安衛型)病院船です。通称は平和の箱舟。同国が保有する初の専任病院船です。過去にも中国は病院船を保有していましたが、改装船でした。920型は専任であるために能力が格段に向上し、病床数も500~600ほどになり、トン数では23,000tになります。規模ではアメリカに劣るものの船齢が若いこともあり、機器更新は早いのではないかと思われます。
調べて思いましたが、ペルーやインドネシアなどの国のような海軍国としてはややマイナー(ペルーは2017年まで戦前の巡洋艦を所有してたことで有名)な国が保有してたことと、ものはあるけど能力は低下し続けているブラジルが保有していたことに意外性を感じたことでしょうか。ブラジルはクレマンソー級の次どうするのか気になるとこです。
基本的に大きな軍事力を地域的に持つ国が中心といった感じでしょうか。この括りなら、インドネシアやブラジルの保有も納得できるものです。ペルーは現在は規模は小さいものの、1999年まで徴兵をしていたことから戦時に対応させるためだった可能性はあります。一方で、軍事力があっても保持していないイギリスやドイツなんかもありますので必須という訳ではないようです。
個人的な所感
私としてはあってもいいかな〜くらいなものであまり積極的に持って欲しいと願うものとは捉えていません。
というのも、基本的に自衛隊は医官が不足してますし海自の艦船の充足率も低いことから大量の人員を必要とする病院船は足枷にしかならないのではないかという疑念があります。
また、現在の自衛隊はPFIによって民間フェリーの「はくおう」と「ナッチャンWorld」を有事に利用できますし、はくおうについては新型コロナウイルスによって利用されていることは報道により明らかになっています。能力としてはおそらく足りないかもしれないですが、高い維持費と任務利用範囲の狭さを考えると安易に利用できるものではありません。
海保に持たせては?という意見もあるかもしれないですが、海保は海自よりも貧乏ですし、ジュネーブ第二条約では病院船は軍艦以外では救済組織、またはそれに準ずる組織、加えて私人としており公船でも軍艦ではない海保の船舶では有事の際に病院船として機能するかは戦争当事国のさじ加減になる可能性があり危険な賭けだと言えます。
しかし我が国は毎年なんらかの災害に被災しており、人口減少と過疎による地方の体力低下、自衛隊への国民からの期待もあって年々その需要は高まっていると考えて良いと思います。
病院船は直接の国防に寄与しない船舶、いわば贅沢品のような存在である故に導入に際して我々国民はその必要性を話し合う必要があるのではないかと思います。