パンデミックの時の軍事的活動
コロナウイルスの拡大が続き一寸先ですら見えない状況ですが、そのような状況でも軍事の世界では活動が止まるということはありません。そこで今回は少し気になった軍事的な活動を話そうと思います。
ロシア
3月27日にはロシア海軍が対馬海峡から日本海へと進む姿が海上自衛隊の哨戒機P-3Cが確認しています。
https://www.mod.go.jp/js/Press/press2020/press_pdf/p20200327_02.pdf
ロシアの活動に恐怖する方や実力行使を求める声がtwitterだとおりますが、国際海峡の通航は国際法上合法ですし、国際海峡の通過は中国・ロシア共に一年を通して恒常的に行われています。
そして、よく消える視点ですが当の日本も軍艦の通過を監視する軍事行動を執っているのです。変な話ですが、最悪これを軍用機でなくとも通過の確認は取れるのです。それをわざわざ軍用機で行うことに疑念を持つことも時には必要だと思います。さらに、日本も艦隊を常に一つ哨戒任務に就かせて時に公海上で訓練に出かけます。
もちろん、一昨年の韓国からのレーダー照射のように相手から攻撃行動を取られることがあり得ること、軍事情報は軍事関係の知見がないと識別が困難であることから自衛隊が行うことは当然です。その一方で相手国の軍事的な活動が常に行われることも当然ではあります。どこの国でも常に戦争やテロの危機は消えないからです。したがって、ロシアの行動に必要以上に過敏な反応をする必要はないのです。今回を見ると日本海に航行しているので活動を終了しようとしているので特に大きな必要はないと考えます。
なお、3月26日に中国も活動していますが同様に過敏になる必要はないです。
北朝鮮
3月に入ってから4回も弾道ミサイルを発射している北朝鮮ですが、これは会談したいことや支援を求める(一部からは構って欲しいと言われている)ために行なっている訳ではないと思います。これは衛生環境が中国や韓国よりも悪い北が即応体制を失うような混乱が起きている訳ではないということを示すために行なっていると考えられます。
体制が脆い国である以上、行動を示して金正恩指導体制が盤石であることを示す必要がある訳です。
なので今回に関してはミサイルの能力を示したり、攻撃の意思などを強く持っているとは考えにくいと思います。とはいえ、この一連の行動は国連決議違反なので我々は厳しく対応をしてかなければなりません。
今回のコロナウイルスのパンデミックでも各国の思惑が交差し、時にはよくわからない行動を取るかもしれませんが、そんな時でも冷静に注視して見るとちゃんと意味があったり、特別変なことをしている訳ではないことがわかると思います。
自分の考えが間違っているかもしれませんが、何かのきっかけになれたらと思います。
米陸軍のJMR/FVL
コロナウイルスは落ち着いたのか、二番底がまだ控えているのかわからなずお出かけの予定が組めないままになっていますが皆さんはどうでしょうか。
今回は現在アメリカ陸軍で行われているJMR/FVL(統合多用途・将来型垂直離着陸機計画)の選定に参加している2つの機種のお話をしたいです。
JMR/FVLとは?
そもそもとしてJMR/FVLとは何でしょうか?現在のアメリカ陸軍はAH-64アパッチ、OH-58カイオワ、CH-47チヌーク、UH-60ブラックホークを中心に運用しています。
おそらく、検索していただければわかると思いますがどの機体も映画やゲーム、漫画、アニメでどこか見たことがあるのではないでしょうか?特に画像を掲載しているUH-60は映画「ブラックホークダウン」で有名になったのではないでしょうか。まだ見てない方はぜひ見ていただけると現代の市街地での戦闘の雰囲気を感じることができます。
さて、話を戻しますとこれらのアメリカ陸軍のヘリコプターは冷戦、その後のイラク戦争も活躍しました。冷戦が終わってそろそろ30年が経とうとしてます。そしてこのヘリのいくつかはベトナム戦争時に初飛行・実戦を経験しているのです。つまり何が言いたいのか?
陸軍のヘリはどれも古く、時代遅れになりかけている。
ということです。
ここでよく理解されている方は思うでしょう。アメリカ軍のヘリは今もどれも一線級であると。それも正解です。ですが、元型が初飛行して50年、下手したら60年以上前の機体にこれ以上の拡張性が得られるか?という問題が出てきます。周りを見ますと、欧州はNH-90などの新型ヘリコプターを21世紀に入ってから導入し、中国はZ-20を例にするようにアメリカをお手本とする機体開発を進めています。もちろん、米国のヘリも機体の内部更新をして水準の維持していますが元の設計年数の差が生むハード面、ソフト面の限界が当然出ます。
さらに、米軍はイラク戦争を通じて現用のヘリコプターそのものに疑問を感じました。
ヘリコプターは確かに便利なのですが、いずれも速度が遅く、航続距離が短い。その上整備性は固定翼機に負けるのです。
これではヘリには良いことなしになっていしまいます。陸軍としてはこちらの理由が結構堪えたようです。
そんな中で登場したのが、JMR/FVLです。
JMR/FVLは複合ヘリ、またはティルトローターを使用した既存のヘリよりも長い航続力、速い速度を出せる新たなる回転翼機を複数導入する計画です。
この計画で今のところ機体を用意している参加企業はベルとシコルスキーの2社となっています。かつてはエアバスも名乗りを上げていたのですが、知的財産権などの問題から辞退しています。
ベルの提案している機体はV-280 ヴェイラーというティルトローター機で巡航速度はMV-22などと同じ520km/hと速く、A-10やスーパーツカノなどの固定翼機と随伴することができます。ただし、ティルトローターですので低速域は苦手なのではないかと言われています。
もう一つのシコルスキーが提案している機体はSB-1ディファイアントという機体で、こちらは複合ヘリと呼ばれる機体で、二重反転プロペラと推進用のプロペラを使うことで従来のヘリよりも高速かつ、遠くへ飛ぶことができます。
ただし、ティルトローターよりも従来のヘリコプターに近い存在なため、速度・航続距離共にV-280よりも劣る存在になります。しかし、前面投影面積がV-280より小さいため被弾のリスクは小さく、枯れた技術を使うため開発予算などが安いというメリットもあります。
実際のところ、JMR/FVLの一端であるFARA(将来型攻撃偵察機)ではV-280を推すベル社も複合ヘリを開発して採用競争に参加するので戦闘ヘリに関してはシコルスキー側の言い分には一定の説得力があります。
一方で、JMR/FVLは大型のCH-47やC-130輸送機も置き換える重量級も視野に入れているためそちらはより速度の出やすいティルトローター方式になると思われます。
HMR/FVLをざっと見ていきましたが、いかがだったでしょうか。この計画は陸自の凍結している次期主力戦闘ヘリの導入などにも影響を与えることになるでしょうから、この計画の動きには注目していきたいところです。
河野防衛大臣 自衛隊のパワハラ対策を厳格化へ
すっかりコロナウイルスの話題が巷に溢れることになりましたが、書きたいことはあるものの知識が全くその分野はないので法律読んでテキトーすぎることを言うのは避けたいなと思います。まぁ、ざっくり言いますと行政もやれることは現行法ではかなり限界がありますよーと言うお話です。
さて、本題になりますが河野防衛大臣は自衛隊のパワハラの処罰規定を厳罰化し、またパワハラの基準の見直しを行うとされました。
河野防衛大臣 自衛隊“パワハラ”処分を厳罰化 https://t.co/5Rd9k7Q4KL
— 河野太郎 (@konotarogomame) 2020年2月29日
現在の自衛隊のいじめ・パワハラはいくつか本にでるほどであり、直接の関係がある訳ではないですが自殺率も国の機関の中でも特に高いものになっていました。公務員自体が自殺に陥りやすい職業であるにも関わらず、その平均よりもはるかに高いと言う事態になってしまいました。
現在の就職においてパワハラが横行するのはそれだけで選択肢から外れる状況になりかねないほどのマイナスな存在となっています。具体的な詳細は記事の方を見ていただけると嬉しいですが、全体的に処罰の謹慎期間が長くなることになりました。
自衛隊は中の人がどう思うかは分かりませんが、一般の人からするとやはり厳しいイメージが付き纏う状況で、その改善を計るための動画を作成するなど自衛隊のイメージ刷新を行う活動をしていました。
この手の話でよく出てくる反論としては軍隊は命が関わるから厳しいのは当たり前、パワハラはあっても仕方ないと言う意見です。
確かに軍事組織は命のやりとりをするもので時には厳しさも必要ではあります。しかし、それがパワハラをしても良いと言う話には繋がらないと思います。欧州を中心とした他国では軍事オンブズマン制度が存在し、いじめやパワハラに対してオンブズマンが機密情報含めたものを全て見れるほどの権力を持ち、軍人の待遇の改善やいじめ防止を努めています。この制度を採用している国はロシア・ドイツ含め多くの国が採用しています。軍隊であっても現在の潮流としては厳しくてもしょうがないと言うことはありません。戦前の日本でも一時期ダルトン式教育法が採用され、その当時にしては画期的で体罰がない教育方針でした。その教育制度の成果は新たな戦術が採用されたりと日本軍の革新を進めることができました。
勘違いされる方がいますが理由がしっかりあり道理として合理性があるものはパワハラにはなりません。遅刻グセの人を叱るなどがその一例です。それとパワハラ・いじめは別です。
なぜか戦前・体育会系の悪い部分を賛美される方がいますが、不要な叱責は個人の能力を下げる結果になり組織に脆弱性を作ることになります。命のやりとりをする、下手をすればみんな死ぬ可能性がある組織でわざわざ個人の能力を下げることをやる合理性が見られません。
ブラック企業が問題になっている世相の中でいじめ・パワハラ・自殺がたくさんでる組織の存在をなくすように努めている時にパワハラを寛容する組織があるのは問題と考えます。現状、米軍でもオンブズマン制度を持つなど過ごしやすい組織作りをしている状況で、日本だけがいつまでも緩い対策をしている現状では組織はなりたてないでしょうし、パワハラがなくても強い組織になれるならそれに越したことはないでしょうか。
自衛隊のサイバー対策
steamでゲームを買えるようになって久しいですが、steamで買えるゲームというかパソコンゲームは高いモデルじゃないと遊べないイメージのせいでなかなか手が出せていない最近です。
さて、今回は自衛隊のサイバー対策と書きましたが、工科学校にサイバー専門コースができますよーというニュースに沿っていこうかなと思います。
サイバーの強さ
多分ですが、何してもコンピューター上のシミュレーションでしか内容の結果が見れないなどもあって、戦争形態の中で一番地味だと思います。
上の画像はおそらくわかりやすいように図示されていますが、実際にはもっと地味な絵面になるのではないでしょうか。実のところ、陸上自衛隊が令和2年1月1日に投稿した自衛隊の任務の説明動画ではサイバー、宇宙、電子の3つが新たな戦場となることを最初に伝えたにも関わらず、PV内では大した説明もなくそれら3つとは異なる既存の脅威に対しての対策を描くに止まっています。
残念ながら、これから重視される戦場は砲弾も飛ばず、直接的な被害によって人が死ぬと言うことは滅多にありません。そして何より目には見えないものが大半なので何をしているかは常に説明せねばならず、また説明しても地味なことは何も変わらないのです。ということもあって陸自のPVでも扱いが悪いものだったのでしょう。
しかしながら、北・中国・ロシアは北・中国はサイバーで圧倒的な規模を誇り、ロシアは電子戦において米軍を凌ぐ能力を持っているとされています。これらの脅威の凄さは核兵器なしに圧倒的効果を発揮します。むしろ、反撃手段を全て奪うこともできる点においては核兵器のような戦略兵器を上回ります。米軍・自衛隊などの西側諸国系の強みは高度なデータリンクと強力な空軍力です。それらは全て軍の情報ネットワークと電子空間の制圧によって初めて他国を圧倒できるわけです。
これが欠ければその圧倒的軍隊は圧倒的では無くなります。なんらかでデータリンクが切れると戦闘機や戦闘艦は見えない位置からの敵の存在に気づけなくなり、地上部隊は誤射を併発する可能性が高まります。
無論、自衛隊もデータリンクに依る効率的な戦闘スタイルを構築線としているのであり、データリンクの無力化は現実的な脅威になります。
そんなこともあって、今回のサイバー分野における教育コースの設立は自衛隊側の意気込みを感じるものがあります。当然ながら、データリンク関連以外にも情報漏洩を防いだり、逆に敵のネットワークや情報を奪うことにも利用できるサイバー空間はかつて壮絶な諜報戦繰り広げたベルリンの現代版であると言えると思います。そんな訳で今回はここまで
病院船導入を検討…?
最近長めの記事を書くことが増えましたが、少しだけ短い方がいいんですかね?要点だけを絞って話すと言葉足らずになりそうですが、はてさて…?
さて、今回は自衛隊というよりは大臣たちからの検討事項となり始めている病院船についての話題です。
日本での病院船は旧日本軍では海軍とともに陸軍で多く運用されていました。
その多くは商船改造であり多くは撃沈するなど激しい任務でありました。
自衛隊が持たない理由
現在の自衛隊では一切専任の病院船を所持していません。というのも、病院船は普段ではあまり実用的とは言えません。大型の船舶に任務の都合上大きくなりやすいにも関わらず、国際法により最低限の小火器を除き非武装、軍事的活動への投入を禁止、他国への船舶情報の通知などが必要になるので逼迫している自衛隊が通常の哨戒任務に使えない船舶を持つのは非常にコストパフォーマンスが悪いと言えます。
これは1949年に締結されたジュネーブ第二条約の22条、26条、34条、43条に記載されています。
その代わりになりますが、補給艦や輸送艦、大型のひゅうが型やいずも型護衛艦は病院船的な能力を保有しています。しかし、能力としては病院船ではないのであくまでついでに留まります。そのため現在他の自衛隊が持つ手術コンテナを積載し、病院船能力を上げることを想定していました。
他国の状況
病院船は現在のところ、アメリカを含む比較的軍事力に余裕のある国や災害などが多い国での運用が目立ちます。
現在の保有国はアメリカ、ロシア、中国、フランス、インドのような軍事大国に加えてブラジル、ペルー、インドネシア、ベトナムが軍用船舶として保有しています。
マーシー級は1000もの病床、12の手術室、CTスキャナーなどを持つ病院船で世界最大の病院船となります。そのトン数は約7万tにもなり、これは自衛隊のどの艦船よりも巨大な艦船になります。
他国では中国の920型(安衛型)病院船です。通称は平和の箱舟。同国が保有する初の専任病院船です。過去にも中国は病院船を保有していましたが、改装船でした。920型は専任であるために能力が格段に向上し、病床数も500~600ほどになり、トン数では23,000tになります。規模ではアメリカに劣るものの船齢が若いこともあり、機器更新は早いのではないかと思われます。
調べて思いましたが、ペルーやインドネシアなどの国のような海軍国としてはややマイナー(ペルーは2017年まで戦前の巡洋艦を所有してたことで有名)な国が保有してたことと、ものはあるけど能力は低下し続けているブラジルが保有していたことに意外性を感じたことでしょうか。ブラジルはクレマンソー級の次どうするのか気になるとこです。
基本的に大きな軍事力を地域的に持つ国が中心といった感じでしょうか。この括りなら、インドネシアやブラジルの保有も納得できるものです。ペルーは現在は規模は小さいものの、1999年まで徴兵をしていたことから戦時に対応させるためだった可能性はあります。一方で、軍事力があっても保持していないイギリスやドイツなんかもありますので必須という訳ではないようです。
個人的な所感
私としてはあってもいいかな〜くらいなものであまり積極的に持って欲しいと願うものとは捉えていません。
というのも、基本的に自衛隊は医官が不足してますし海自の艦船の充足率も低いことから大量の人員を必要とする病院船は足枷にしかならないのではないかという疑念があります。
また、現在の自衛隊はPFIによって民間フェリーの「はくおう」と「ナッチャンWorld」を有事に利用できますし、はくおうについては新型コロナウイルスによって利用されていることは報道により明らかになっています。能力としてはおそらく足りないかもしれないですが、高い維持費と任務利用範囲の狭さを考えると安易に利用できるものではありません。
海保に持たせては?という意見もあるかもしれないですが、海保は海自よりも貧乏ですし、ジュネーブ第二条約では病院船は軍艦以外では救済組織、またはそれに準ずる組織、加えて私人としており公船でも軍艦ではない海保の船舶では有事の際に病院船として機能するかは戦争当事国のさじ加減になる可能性があり危険な賭けだと言えます。
しかし我が国は毎年なんらかの災害に被災しており、人口減少と過疎による地方の体力低下、自衛隊への国民からの期待もあって年々その需要は高まっていると考えて良いと思います。
病院船は直接の国防に寄与しない船舶、いわば贅沢品のような存在である故に導入に際して我々国民はその必要性を話し合う必要があるのではないかと思います。
海自の中東派遣の意味
はてなブックマークってコメント機能がついてるんですね。ずっとブックマークするだけだと思っていたのでいくらかコメントに目を通せていないです、ごめんなさい。
さてコロナウイルスの拡大で影が薄くなり、自分自体そんなに目新しいことをする訳でもなかったので大して興味がなかったので超今更ですが、海上自衛隊の護衛艦の中東派遣について話そうかなと思います。
今回作ろうと思ったきっかけとなった記事なのですが、NHKらしく他のマスメディアよりも賛成・反対が載っていたと言う感じでかなり好感を持てるものでした。今回はその記事の内容に即していこうと思います。
今回の自衛隊の任務とは?
中東派遣における自衛隊の任務は情報収集とされています。自衛隊の情報取集任務は法律的には防衛省設置法4条1項18号によるものとされます。気をつけなければならないのは今回の任務は防衛省設置法であり、自衛隊法に基づくものではないということです。ちなみに任務の場所は実際に戦闘になる可能性が高いホルムズ海峡にペルシア湾ではなく、オマーン湾、アラビア海北部などの比較的イランから遠い地域になります。
>防衛省・自衛隊:中東地域における日本関係船舶の安全確保に関する政府の取組について
派遣される装備
今回の中東派遣には護衛艦一隻、哨戒機2機といった構成になっています。この内容は各新聞社が報じています。
今回派遣された哨戒機の説明をすると使われているのはP-3Cで現在配備が進んでいるP-1ではありません。これは確かな情報元が見つけられていないのでなんともですが、P-1の機体の大きさが全面的にP-3Cよりも一回り大きいことから拠点としているジブチのハンガーに入らないためではないかと言われています。
またP-1はP-3Cよりも機材等は一新されていますが、相手はその機材を使う潜水艦や大型の艦艇ではないことため無理にP-1を持っていく必要はないと判断されたのかもしれません。
とは言え、P-3C自体は20ヶ国で採用された哨戒機にしては多く製造された名機といって差し支えない機体であり、タンカーを攻撃している組織が通常のテロリストよりも重武装である可能性も考えて信頼性のより高い機体を使うことは理にかなっていると考えていいと思います。
護衛艦に関しましては、派遣第一弾としてはたかなみ型護衛艦の「たかなみ」が使用されます。たかなみは2003年に自衛隊に配備された護衛艦で年数だけで言えばそこそこに年数が経っているもののむらさめ型護衛艦の改良型として建造され。護衛艦隊の主力となる艦船の一つとなっています。今回の派遣では艦橋に防弾ガラスを取り付け、船体には非殺傷兵器となるLRAD(音響兵器)を使用します。LRAD自体はイラク戦争後の駐留米軍に採用されたことをきっかけに世界中の軍隊や警察組織にて運用されています。当然ながら自衛隊でも採用されていて、ソマリア派遣部隊や邦人救助部隊となる中央即応連隊が使用している実績のある装備となっています。
中東派遣の不安と個人的な所感
つらつら事実のみ書いていても仕方ないので、少し個人的な意見を書きたいと思います。その前に、自衛隊の今回の派遣に対する不安と批判を書こうと思います。
今回の派遣ではイランとの関係悪化の話が出ています。また、米国と協同した行動は中東からの反感を買う可能性があるのではないか?ということです。
また、批判としては何かの正式的な任務ではなく防衛省設置法による情報収集を活動根拠とするのは法律と国会を軽視しているといった指摘です。
まずは不安の方から、イランとの関係悪化の可能性ですが今回の派遣のきっかけとなった国華産業含めた多国籍の企業のタンカーへの爆破テロであり、この攻撃は米国含めた有志連合はイランによるものとしてますが、イランは一貫して米国への非難をするもののテロへの関与は否定しています。
つまり、イランへの直接的な敵対行動になるわけでもなく、期間内でイランが何もしないのであればイランはある意味で潔白を得ることができるのでイランとしては友好国による情報収集は困るものではありません。また、上記でアラビア海のマップを掲載していますがイランからは正直かなり遠いです。なんかあっても急行するには時間かかる上に、自衛艦は対地攻撃能力が巡航ミサイルがないこともあり弱いので特に脅威と認識されにくいと思われます。
他国からの認識はイランのことが好きな国よりも宗教上の理由で敵対している国のが多いので、イランの監視任務は他の中東各国にはありがたいものであります。また、国民感情の面ですがイラク派遣が理由に中東での対日感情が悪化したという話はあまり聞きません。仮に起きるとすればイランの国民感情が悪化する可能性ですが、これもあったとしても世論に影響を与える可能性は低いのではないかと考えます。
というのも、彼の国は情報統制がかなり厳しいものがあります。日本に対する感情の悪化によるデモを扇動しても、日本自体はイラン問題のプレイヤーではないので反日感情を煽る意味がありません。
扇動したところで仲裁役、中立的な存在を失うだけでイラン側にメリットがないわけです。ということは、日本のことを必要以上に煽る流れを政府が作る可能性は少なく、米国みたいに巨大な怒りがぶつけられないと思います。また、今回の中東派遣はインドや韓国も日本と同様に独自派遣を表明しており、怒りの矛先はあってもかなり分裂すると考えられます。
注:ちょっと政治くさい内容になります
次に批判となりますが、できることであれば法律的な強い根拠があった方が良いというのは事実だと思います。問題は法律にして出来上がるまでの時間とできてからの法案審議の時間です。法律作成は残念ながら本来数年かけて行うものであり、また法的安定性の問題からも去年の臨時国会の間に成立させられる法案を提出することは安全ではありません。まともな条文になることなく提出され、提出される前に内閣法制局に差し戻されたらそれでおしまいになるやもしれなく、仮に提出しても野党から対決法案として見られた場合には早期の成立は困難になりうるものと予想されます。
ただし、2001年のテロ特措法はわずか一ヶ月未満で法案可決しています。それなので特措法にすることで早期の法案提出が可能であったということは付け加えておきます。
一方で活動場所は基本的に公海上になり、テロ特措法のように他国軍と直接的な協同はしないので法律を通さなかったこともある程度の論理性はあります。なのでここら辺は政権の行政運用の好みの問題かと思います。できることなら今年の通常国会か臨時国会で延長される際には追加の根拠法が提出あればいいんですけどね。法律にするにしても運用予定が半年なので作るメリットが薄いんだろうなといった感じでしょうか。
国内や外交は色々ありますが、実際の現場は終始安全で終わり自衛官が無事帰国できることを願うばかりです。
水陸機動団 北海道配備のメリット
ブログを編集画面ではなく、普通の画面で見るとサイズでかいのはとことんでかくて面喰らうことに気づきました。とりあえず、サイズの調整ってどうすればいいんでしょうね?
さて、今回はタイトルのように水陸機動団が北海道にくるかも?という話です。
配信元の記事では沖縄本島では政府への反発が強いこともあって実現が難しく、理解の得やすい北海道に部隊を置きたいといった感じのものでした。
実は水陸機動団の前身の西部方面普通科連隊でも沖縄に部隊配備の話が出ていましたが、同じように政府への反発が強いと言う事があり実際には長崎の相浦駐屯地に居を構えることになりました。それから20年ほど経ちましたが、状況は大きく好転してはいないといったところでしょうか。そんなこともあって北海道と言う感じでしょう。
北海道に置くメリットと必要性
北海道への配備は記事にないこと含め色々と良い事があります。
一つ目は演習場と演習部隊の点です。
記事にもあるように演習場が他の地域よりも広く、多く存在するということです。北海道は日本最大の演習場である矢臼別演習場や陸自唯一の浜大樹訓練場、札幌の近くに存在する北海道大演習場など演習場に恵まれています。また、北海道は他の地域と異なり機甲部隊や機械化歩兵が充足されており、札幌を防衛する第七師団は日本で唯一の機甲師団となっております。いずれの部隊も演習の対抗部隊としては近隣諸国の揚陸部隊の機甲部隊役をやるのに的確であると思われます。あまり注目されませんが、ロシアは海軍歩兵にT-80・T-90や、BMP-3のような戦車やIFVが配備されており、中国も15式戦車や11式装輪戦車、05式水陸両用歩兵戦闘車、IFVなどを装備している機械化部隊となっており、このような相手を再現するのに他の地域の部隊では難しい現実があります。
揚陸作戦部隊の機械化は世界最大の揚陸作戦能力のある米海兵隊も高度に機械化されているので、機械化部隊が演習相手を機械化された部隊がするのは特殊なケースではなく、常にありえる脅威に対抗するには大切だと思われます。ちなみに、海兵隊はヘリに恵まれており、今後の近隣諸国の舞台もヘリボン能力を上げていくと思われます。ロシア海軍歩兵なんかがまさにその能力を歩兵の個人能力として求めています。一方、中国は未だにヘリの配備が間に合ってないですがZ-20の配備が状況を変えていくと思われます。実のところ北海道はその部分でも恵まれてまして、旧式のAH-1SやUH-1Jが中心になりますがヘリ部隊が関東以外ではかなり恵まれている方だと思います。北海道はつまるところ、野戦をするには一番良い立地であるということです。
二つ目としては、北海道の離島です。あまり意識されませんが北海道は国交省の発表では508もの島が北方領土含めて存在します。ロシアはウクライナ危機で立ち消えしましたがフランスのミストラル級の導入を進め、現在も揚陸艦配備を進め2018年にイワン・グレン級を配備しました。
イワン・グレン級の二番艦は太平洋艦隊に配備されることが決定されており、太平洋におけるロシア海軍のプレゼンスが上がると考えてみて間違いないと思われます。それ以外にもロシアは中国よりもヘリ運用能力が高く、北方四島に軍事施設が存在することからも対露関係の悪化によってロシアが行動に出た際に離島が占領される能力的な可能性は高いと言えます。
他にもロシアは自国の内部で不満を持つ少数民族や反政府活動家が存在し、過激派がロシアの主権が及ばない我が国で拠点を持つこと、またはそれを利用したハイブリッド戦略が発生することも考えられます。
北海道には奥尻島含め、離島に住んでいる人がいるのでそこに住む住民の保護の必要性があります。北海道の海は他よりも冷たいので特殊な訓練も必要なのではないかと思われます。北海道に対処できる部隊がいるのは時間が大きな鍵になる現代戦において、事態の早急な対処ができるので大きなアドヴァンテージとなれます。
三つ目は地方への支援策です。もともと北海道は自衛隊の部隊が多く存在していましたが、冷戦の崩壊によって自衛隊の規模が縮小され続け、少子化、過疎化なども合間って人口減少が著しい地方には自衛隊は大切な存在となっております。どのくらい重要視されているかというと、町長や議員が上京して陳情するほどです。
今回の自衛隊増強はそういった自治体にとって要望を叶え、地方の支援、創生に役立つ施策となるわけです。
水陸機動団の増強は機動力を高め、最終的には米海兵隊のような緊急展開部隊的な総合部隊になれば非常に扱いやすいものになるとは思いますが、一般部隊がないがしろにされるようなことは避けてほしくはあるなと思います。できることであれば、北海道だけでも総合的な戦力を保持していてほしいと思うところです。
【陸上自衛隊公式】最新広報用映像 新たな次元へ進化する陸上自衛隊 〜多次元統合防衛力の構築に向けて〜 THE EVEOLUTION OF JGSDF INTO NEW DIMENSIONS