よろず夜話

軍事や自衛隊を多めにしつつ色々な話をするブログ。話の正確性は6割ほど、力を抜いた話ができるようにしたいです。アイコンは陸上自衛隊HPより引用

国防総省・FFGと潜水艦の購入速度の低下へ

イランによる軍事攻撃や旅客機撃墜など米国とイランの関係が悪化し、一時期本格的な軍事衝突が懸念されましたが、現在は小康を保てています。イランは中東での大国の一つであり、彼の国の影響力低下は中東情勢のさらなる混乱を生む可能性があるので何とか外交で解決してくれたらなとは思います。

 

さて、今回はそんなイランと対立している米海軍のお話。普段は強いイメージの米軍、それも最近の戦争では空爆の多くを海軍が担当するなど影響力の強そうなところですが予算はどこも大敵だったようです。

www.defensenews.com

去年の記事とやや古いものなのですが、国防総省は今後5年間の予算において新型フリゲート艦(FFG(X))の建造ペースを落とすようです。予定では2020年から毎年二隻ずつ建造し、2030年まで継続するつもりだったらしい。それが最初の2年は一隻ずつ。その後2024年で三隻の建造になるとのこと。2023年と2024年に二隻建造としながら2024年に3隻建造とするらしいので、23年からは毎年一隻増やすといった感じでしょうか。他にはバージニア級潜水艦の建造数の減少がなされるようです。

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wikipediaより ヴァージニア級カリフォルニア

何でそんなことをするかというと、どちらも急を要しないためであるとしています。又、2030年までにオハイオ級戦略原潜の後継となるコロンビア級を導入を考えており、この潜水艦はアメリカの核戦略に大きく関わることになるのでこちらの開発の方に注力したいようです。

一方で海軍はLCSの初期艦の4隻を早期に退役させたい意向を示しており、今後この流れは加速するでしょうから、FFG(X)の導入のこれ以上の進捗低下は沿岸警備や低強度任務に支障をきたすと思われます。

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wikipediaより インディペンデンス級

日本語のソースがまだないので知らなかったですが、ついにLCSの退役の話がきてしまいましたね。アメリカはフリゲートに当たる艦は現在なく、気軽に台湾などの中小国に軍艦を売ることができない状態なのでLCSの早期退役の希望はそこと単に中途半端で使い勝手がよくないから捨てたいのかなと思えます。FFGがある程度のサイズがあるので使いやすそうですが、それもペースが怪しい。海自もFFMが導入待ちでかつ、地方の護衛艦隊運用を二転三転しているので巨大な海軍を持つ国の固有の病なのかもしれません。にしても、購入ペースの変更でそんなに変わるのか?そこらへん分からないのですが、いずれにせよ米国は中小国に対して独自の建造能力を持たせるか、ドイツなどの国により委託する流れに今後もなりそうです。

 

アメリカ海軍2020 2020年 01 月号 [雑誌]: 世界の艦船 増刊

アメリカ海軍2020 2020年 01 月号 [雑誌]: 世界の艦船 増刊

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  • 出版社/メーカー: 海人社
  • 発売日: 2019/12/17
  • メディア: 雑誌
 

 

 

 

航空宇宙自衛隊創設ですが…

ここ最近忙しさがとんでもなくレベルアップするのでただでさえゆっくり更新なのがさらにゆっくりになると思いますが、よろしくお願いします。

 

さて、本日は自衛隊設立以来の大きなイベントが発生するかもしれません。自衛隊は現在陸・海・空の三つ存在します。ですが、現在GPSやその他衛星通信網の防衛の重要性はスマートフォンやカーナビ、船舶や航空機の航法システムのみならず、天気予報、二酸化炭素濃度計測や地形情報など日常生活や科学技術方面で利用が拡大し続けている宇宙空間での危機は日々高まっています。例えば、GPSの撹乱工作に宇宙デブリ、キラー衛星などがあります。そこで今回自衛隊航空自衛隊航空宇宙自衛隊に改組することになりました。

trafficnews.jp

個人的にその任務の重要性と大きさは分かるのですが…

いかんせん名前がダサい。

いや、わかりますよ?イスラエルやロシアは航空宇宙軍を名乗ってますし、米軍も宇宙軍を創設しています。しかし、自衛隊の語数と航空宇宙という語は幾ら何でも多すぎるのでダサく聞こえてしまいます。

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wikipediaより イスラエル航空宇宙軍のマーク

 まあ、そもそも自衛隊という名前も韓国だと自●の意味になったりと色々アレなのですが…

ただし、自衛隊そのものは航空宇宙自衛隊になることでより一層宇宙という従来関与していない分野を守ることになり、他にもサイバーに電子攻撃などの分野も自衛隊は担当することになります。

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防衛装備庁より 電子戦研究をしている

今回の新しい領域は今までの分野よりも重なっている部分が多いです。例えば宇宙空間が被害を受けると結果的にネットやGPSなどの通信に大きな影響が出ますし、電子攻撃をしてもその分野はやられます。実際ウクライナ危機ではウクライナ軍や近隣に展開する米軍部隊に対してロシア軍の電子攻撃が実施され、米軍の機器は使用できなかったと言います。またサイバー分野はまさにネット空間であり、ここへの攻撃は人工衛星への攻撃や実質的な電子攻撃を実施することが可能です。

この三つの分野はどれか一つを攻撃すればネット空間を破壊できるという共通点を持ち、市民生活へ大きな損害を与えられます。これらへの攻撃は正規軍のみならず、テロリストやクラッカー(ハッカー)などの危機に晒されます。これらの分野に今後自衛隊は深く関与し、警察やJAXA・民間企業とも連携して防衛を強化していくことでしょう。

新型弾道ミサイル防衛システム開発へ

新年三が日を越えいつもの日常に戻っていくことに安堵と寂しさを感じますが、安堵の感情は子供のころでは感じなかったことにまた一つ大人になった寂しさがと色々考えさせられます。

 

さて、今回は陸上自衛隊が新型の弾道ミサイル迎撃ミサイルを開発することになったいう話です。

www.sankei.com

現在のところ自衛隊保有している弾道ミサイル迎撃ミサイルは海上自衛隊のイージス護衛艦から発射されるSM-3と航空自衛隊ペトリオットPAC-3ミサイルとなります。記事では国産ミサイルの開発はロシアのイスカンダルミサイル(SRBM)の対応が厳しいのが国防上の問題になっているためそれを補うためとされています。

 

我が国のミサイル防衛は強化が決定している

実のところ自衛隊のミサイルは航空自衛隊PAC3は射程距離(20→35km)と機動性をアップをしたMSE型への改良が決定、予算も前倒しに確保されてます。海上自衛隊向けのSM-3は去年に米国から3500億円相当(ソース見つけられなかったですが180発とか)を購入し、そのミサイルは最新型のBlock ⅡAとなっています。

www.afpbb.com

maps.gsi.go.jp

また、上の地図サイトから調べてみるとわかるのですが産経新聞で不安視されていたイスカンダルミサイルは射程400kmとなっており、北朝鮮と韓国の国境であれば600km以上のミサイルでないと西日本を射程に収められず、元山付近であれば700km以上でないと西日本を射程に収められないのです。実際のイスカンダルミサイルはリミッターを解除して射程延長できるようですが、遠くに当てるには弾道ミサイルなら高度をあげるしか方法がなく高度が上がればSM3でも迎撃が可能になるかもしれないです。

一方PAC3の射程の短さが問題になりますが狙われやすい大都市圏を防護するだけの能力は最低限有しているので、過疎地への被害に目を瞑ることになってしまいますが人口密集地への被害を抑えることはできます。もっと言うと陸自は建設地の決定もままならない状態ですがイージスアショアも導入され、米国で開発中のSM3Hawkを導入すると地上側でも迎撃が不可能と言う訳でもないということです。

 

それじゃ陸自の新型ミサイルは無駄か?

結論から言うと無駄ではありません。と言うのも、SM3 Hawkはできていないものでこれの存在をできている前提で語るのはただのオタクの妄想に終わる現実性のないものになります。また射程延長により高度が上がるのも希望的観測に過ぎず、北朝鮮イスカンダルミサイルの飛行高度は60kmと見積もられているらしく、SM3の最低迎撃高度が70kmとなっているので頑張っても迎撃できません。

PAC3は能力は上がりましたが、これを外すと致命的な被害を受ける上にPAC3自体命中率が必ずしも高くないのではないかという意見もあります。アメリカにはPAC3とSM3の間を埋めるTHAADミサイルが存在しますのでこれを所持していない日本はこの手のミサイルを入手することのメリットが大きいのです。

ちなみにアメリカはSM3より早い段階・迎撃できない高度を迎撃するGBIミサイルが存在します。これは弾道ミサイルまんまなので日本が導入することは現実的でなくミッドコース(中間段階)、ターミナルフェイズ(終末段階)の防衛能力を上げるしかないのです。その改善に今回の陸自のミサイル開発は大きな意義があります。

また、記事の後半で述べられている新型滑空弾頭が本命になります。これは現在ロシアと中国が米国を出し抜いて開発している兵器でこれは従来のBMDでは対応できず、攻撃能力よりもBMD能力を上げてきた米国の戦略を打ち砕く軍事パラダイムの変更を起こしかねないものとなっているので、これを迎撃するミサイルの存在は急務になる訳です。

 

因みに

今回の自衛隊の対弾道ミサイル開発はカバー範囲の強化以外にも意味があります。それは国産ミサイルの開発で自由な改良ができますし、米国以外の国に売り込みが可能になる訳です。幸運か不幸かはわかりませんが弾道ミサイルは世界に意外と拡散されており、身近な国では台湾と韓国が独自の弾道ミサイル保有しています。それどころか、日本の周りの国は全て軍事大国で弾道ミサイル保有しています。イスラエルもびっくり。

輸出の需要があるのはイランの攻撃に怯える国やフィンランドなどのロシアに近接する国々なんかもあります。潜水艦や哨戒機よりも脅威は身近なため需要も発掘しやすいので売り込みのチャンスになり得ます。改良に関してはSM3の改良にしてもPAC3にも言えますが米国の要求と我が国の要求をすり合わせる必要があるので時間がかかりますし、米国議会で許可がなければ購入しても輸入できないと言う問題がありますので、そこのハードルの解消ができるのは大変意義のあるものになります。

 

なお、よくある敵基地攻撃能力があればミサイル防衛は要らないと言う意見ですが、どこの国も日本の周辺は軍事大国であるが故に防空網が形成されており、巡航ミサイルや戦闘機は多くが迎撃される可能性があります。そもそも、この戦法は湾岸戦争と言う30年前の戦争からある戦法なので米国に敵対する国である日本の近隣諸国は対策をしてるのは明白であり、思うような効果はないと思います。さらに、攻撃には目標の確認が必要ですが国交もなく強固な反スパイ網とゲリラ戦・特殊戦の経験のある北朝鮮工作員を送るのはリスクが大き過ぎ、偵察機グローバルホークでは撃墜の可能性、衛星は常時監視衛星が存在しないため監視不能と日本の現状では敵基地攻撃能力は生かせず予算も安いもので済まないものになると思われます。

いずれにせよ、北朝鮮と中国の弾道ミサイル能力が上昇している中で防衛システムの選択肢が増えることは非常に歓迎すべきことだと私は思います。

 

 

 

 

新年も迎えたので色々と小話

新年あけましておめでとうございます。

2019年の大晦日に元ルノー・日産社長のカルロス・ゴーン氏がレバノンに出国したことで最近話題になっていた大晦日の日に除夜の鐘を鳴らせない問題がニュースで108回も言われたことで解消されたという現代の一休さんみたいなことがtwitterで話題になりました。

 

さて、無事に2020年を私たちは迎えることができました。去年は改元に消費税の増税沢尻エリカ氏の逮捕、東京事変復活の発表など様々なことがありました。残念ながら私自身は大きな変化が起きることがない年でしたが今年はこのブログに訪れたみなさまにとってより良い一年になってくれたらいいなと思います。

 

このままだとあまりにも当たり障りなさすぎるのでもう少しお話させていただきます。完全な個人的なことなのでここでブラウザバックされても構いません。

ブログを始めてはや二ヶ月が経ち飽きっぽい自分ながらよく続いていると思います。最初らへんの記事でも書いた(と思う)のですが、このブログを作るきっかけとなったのは日本のミリタリーブログって政治的なプロパガンダが酷いところかきついマウント合戦になっているところばかりで落ち着いて個人的な感想や意見を書くところが皆無だったことにあります。また、界隈の人も割と攻撃的なことが多くtwitterで書くのも不安がありこうなりました。(元10式戦車のテストドライバーの人の意見を某ブログに書き込んだら有名な方からきつい批判をもらったのが直接の原因です。今もその人は怖いですね)

そんなこんなでどこかで自分の思いを書きたいし、語らうことができればなぁと思って設立しました。(コメント完全解放してないのはやっぱ少し怖いからです。落ち着いたらやりますので書きたい方すみません。メンタル弱いので指摘は優しいのをお願いしますね)

 

記事そのものはやはり自分のあさはかな知識では間違っていることも多く、調べると持論が勝手に崩壊してちんぷんかんぷんな記事になってしまいそこらへんは読まれる方に申し訳ないという気持ちです。少しずつそこらへんは改善したいですね。

 

あとはよろずと言いながら話すことは常にミリタリーなので今年は全然関係ないことも話していくか、ジャンルの固定化をするか決めたいですね。兎にも角にも、今年もどうかよろしくお願いします。

防衛装備庁 マイクロ波兵器の実験を発表

師走の終わりですっかり忙しくなり、ブログの更新が遅れてしまい申し訳ありません。

今回は防衛装備庁がレーザーや電子妨害(ECM)とも異なるドローンへの対策兵器を発表したようです。

www.nikkei.com

今記事を探したら日経の記事しか見つけることができず、全貌を確認することができませんでしたが、今回の実験ではドローンの機械を一時的に誤作動起こさせ墜落させるとのことです。ちなみにこの攻撃は本当に一時的なものらしく、時間経過で再起動することが可能になるとのことですが、その情報の載っている記事を発見できなかったので少し話半分に聞いていただけると幸いです。

もし本当であればテロや紛争で使用されたドローンを鹵獲して機能等を調べるなんてことも可能になりますし、一時的な使用不能とは言っても海上であれば水没することで恒久的な使用不可に持ち込むことも可能でしょうから今後の日本のドローンの防衛戦略の中でもかなり重要な立ち位置になるのではないのでしょうか。

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wikipediaより

ちなみに今年の米軍の重点課題としては無人兵器からの脅威に対抗することであり、兵器調達の中でも以前よりも多くの部分をドローンを含む無人兵器対策に使われるとのことです。さらに言いますと、我が国の来年の令和二年度の防衛予算の中においてもドローン対策の装備調達が明示され、かつ来年調達される新小銃や拳銃の費用よりも高い値段が付いていた記憶があります。まだまだ兵器としては発達途上なので費用が高いということもありますが、どちらにせよ各国でドローンの危機が日に日に高まっているということは確実であると思われます。ドローンの軍事利用、特にテロへの利用は非常に恐ろしく、シリア内戦の戦場をドローンで高画質に撮影したものがyoutubeに公開されてたりしてます。このような気づかれにくく、かつ高画質な撮影能力をもつドローンによって着弾観測を行えば航空戦力を持たないテロリストなんかでも高精度な砲撃をすることが可能になるのです。したがってドローン対策をしない限りこの手の脅威が増大することになりますので自衛隊に限らず、警察や海上保安庁においてもより一層のドローン対策が望まれます。最後に、下の画像はイランのドローンを落とした米海兵隊の対ドローン兵器であるLMADISです。

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U.S. CENTRAL COMMANDより LMADIS

 

 

 

無人の兵団――AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争

無人の兵団――AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争

 

 

 

自衛隊の新小銃・拳銃決定とその理由

わりと自分の好きなように書いているこのブログですが、元Jのかたに見ていただくことがあったりすると書いた内容の適当さに焦る最近です。

 

 

さてさて、今回はミリタリー関係に興味がある方なら半分以上の方が注目してたんじゃないかと思われる新小銃と新けん銃が決定されました。

www.mod.go.jp

防衛省・自衛隊:新小銃・新拳銃の決定について

今回は主に小銃に注目していきましょうか。

今回のトライヤルには日本メーカーからは1社、ベルギーからは1社、ドイツから1社参加していました。防衛省のプレスではこうなってます。

参考1)新小銃のため参考品として取得した3品種

  • ①HOWA5.56(豊和工業製)、②HK416(ドイツ・HECKLER&KOCH製)、
  • ③SCAR-L(ベルギー・FN HERSTAL製)

 (※)平成30年度予算により3品種の参考品を取得。

ミリタリーに詳しくない方だとここにアメリカ製がないことに疑問を感じる方もいるのではないでしょうか?実際のところアメリカの銃メーカーは昔こそ元気でしたが今は老舗が軒並み倒産するなど、若干の斜陽産業化している節があります。あくまでこれは軍事向けの話何ですけどね。

あとベルギーってチョコのイメージとアクセサリー好きな人ならダイヤのイメージがあるとは思いますが、世界有数の銃器メーカーであるFNハースタル社が所在しています。ここのメーカーの製品は西側諸国であればほぼ全ての国が納入しているとも過言じゃないくらいの実績があります。映画やゲームでよく出るガバメントや、M2、P90なんかがFN社の製品となります。

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wikipediaより

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wikipediaより SCAR-L

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特許情報プラットフォームより

さて、本題に戻ると今回のトライアルは海外勢が強いものだったと思われます。画像上二つは共に米軍で特殊部隊を中心に採用されてますし、特にHK416はノルウェイやフランスなどの各国で制式採用されるほどの実績があります。またSCARーLの方は世界各国の特殊部隊で運用されています。ちなみにポルトガルとフィリピンは制式化するほど気に入っているようです。ちなみにですが、HK416は海自の特殊部隊のSBUと陸自の特殊作戦群が採用しています。

 

これだけ見たら確かに豊和の小銃に勝ち目はないです。考えてみてください、特殊部隊御用達です。非常にものとしては良いのです。そしてそこが今回の敗因です。

nationalinterest.org

ここにM27(HK416のLMG型)の納入費用が書かれてますが1億5000万ドルで5万丁購入とあります。一丁あたり3000ドルとなります。民間市場でのHK416の価格も大差なかったので同じく3300~4000ドルでSCARは民間で取引され、軍用でも大きな差はないと思われます。ここで問題ですが89式小銃の価格は高くて34万円、安くて28万円となってるらしいです。(wiki参照)

輸入品のメリットとは何でしょうか?性能もさることながらなんだかんだで安いという点です。89式が高い高い言われてましたが、それより下手したら高いのです。しかも普通に考えてただ輸入したところで整備と修理をするのに地球のほぼ反対の欧州まで銃を運ぶわけにもいかないのでライセンス生産になるわけですが、正直これをやるともれなく価格が上がります。戦闘機の話になりますが同じF-15でも米軍が40億くらいで作ってたのに対して日本は倍の80〜100億です。高いでしょ?冗談抜きで一丁100万円の小銃が出来上がる可能性がつきまとうのです。ちなみに同じ銃で比較すると米軍のMINIMIは一丁4000ドルで日本の住友重工のは200万円します。まさかの5倍にもなります。

もちろん利点もあるわけですが、機関銃ならともかくたくさんの兵士がもつ小銃でこれしたら税金の無駄になりかねないわけです。そして性能もHK416で言えば元のM4カービンにはなかった欠陥があるのではないかと指摘する人もいます。つまり壊れやすいということ、わざわざ高いのを買ってそれでは困るということです。

SCARは一方でそこまでひどい話は聞きませんが5.56mm弾仕様は以前に米軍のSOCOM(アメリカ特殊作戦軍)が導入を白紙にした一幕があります。どちらも優秀ではあるものの手放しで喜べるものではないと言ったところです。

 

ちなみに筆者としては自衛隊はSCARはともかくHK416は採用はないと別の理由で確信してました。理由は簡単なとこで特殊部隊が使ってるからです。wikiyoutubeでいくつかの国の特殊部隊の装備をみていただけると分かるのですが、一般部隊とは違う銃を使います。もちろん、イギリスのような特殊例を除けば特殊部隊も制式採用のものも使いますが一般向けと特殊向けが同一のもので統一されることは結構少ないです。もっともフランス軍は違っちゃいましたが、なんだかんだで細かい仕様は違ったはずです。前述の通りに自衛隊の特殊部隊はHK416を使用してるので限りなく低いと判断したわけです。もっとも過去の例から国産になるとは思いましたが…

 

最近の防衛産業関係では出来レースや腐敗を指摘されることがあります。今回も外国製であったことに対して不満が出ています。その一例としてはレイルシステムを未だに4面で採用されている点です。M-LOKやKey-Modのような部分、部分のみにレイルをつけられる仕組みがトレンドになっている訳です。

確かに特殊部隊や一部部隊向けでは利用が始まっているのですが制式に利用しているケースは少なく、これはSCARやHK416も初期状態では付属していません。もっとも、自衛隊のそれよりはレイルがコンパクトだったりと豊和の最新の意匠は長すぎるようにもみえます。また、過去の意匠を見るとM-LOKに近いシステムをつけているデザインも存在し、現在見れる一番新しい意匠を見るとレイルの前後にねじが存在するのでレイルシステムは取り外しができる可能性もあります。ここら辺は実物を見ない限りは未知数だと思われます。どのみち海外製を採用したところで官品にM-LOKが来るかは怪しいです。

また、値段に関しては令和2年度予算では3283丁を10億円で調達し、一丁あたりおよそ30万円程と他の候補より高いと言ったこともないです。

あとは新型の6,8mm弾薬を米軍がトライヤルしているので間が悪いと言った意見です。これは過去でもあった出来事で64式小銃採用の年にM14は生産が中止され、1967年にM16が制式化されました。

これだけ見れば日本だけ遅れているように見えますが、64式小銃の生産開始と同時期にドイツはG3小銃の生産をはじめドイツは後継のG36の採用を96年までしてない訳です。またブルパップで有名なステアーライフルなどもM16の制式化の10年後になってから登場してます。というのも、M16に使われている5.56mm弾がNATO規格になるまで数年の時間差が存在していたためです。

結果的に米軍と同じ規格にはなりましたが規格化されるのか、それとも時代の徒花に消えるか分からない部分があり一概にすぐ新型弾薬対応銃にしないとならない理由もない訳です。実のところ、今回のトライヤルに参加していた銃は全て拡張性を一定以上考慮されたもので新型の弾薬に対応する準備は自衛隊はしていると見てもおかしくないと思われます。いづれにせよ、フランス、ドイツといったNATOに帰属する国々もほぼ同時期に新型小銃を導入しているので日本が間が悪い、時代遅れという訳ではない訳です

 

今回の自動小銃の決定での不満は一定数持っている方はいられるかもしれないですが、できることであれば冷静な議論を行い、ただの誹謗中傷合戦にならないことを祈りたいところで今回の話を終わらせたいと思います。

米国がイラン高官を指名手配

もう少し軽い感じの話をしようと毎回思いながら重い話に帰着することがブログ書いてると起きるこの頃、軽い気持ちって案外難しいです。

 

 

さて、今回は米国国務省がイランの革命防衛隊の高官アヴドゥル・レザ・シャーライ氏の確保・殺害のために1500万ドルを出すとのことを発表しました。

www.militarytimes.com

 

アヴドゥル氏はどんな人なのか?

このシャーライ氏はイラン革命防衛隊に所属し、現在のところイエメンで活動しているコッズ部隊、またの名をゴドス軍の司令官です。ゴッズ部隊は世界各国への通信傍受に破壊工作、民兵に対しての軍事訓練を行なっています。過去にはタリバンとの関係が疑われたり、日本でも筑波大学教授の殺害を行なった声明を出すなどの影響を与えています。他にはベイルートの米海兵隊の宿舎爆破にも関係しているとされます。最近ではイスラム国とイラクの戦闘においてイラク側に着いて戦闘を行なっております。

何をした人なのか?

シャーライ氏は2007年に有志連合の司令部に対してテロ行為を行い、アメリカ兵5名殺害した作戦の計画を行なったとされています。また、長年に渡って同氏は米国とその同盟国への攻撃計画を練っていたことも指摘されています。他には武器・爆発物をシーア派過激派へ提供するなどをし、シャーライ氏に限らないコッズ部隊による米軍の被害は200名にも昇るのではないかと疑われています。

 

所見

米国のイランへの圧力はトランプ政権になってから再び強くなり、過去に行われた事件への指名手配など締め付けが厳しくなっていってます。一方でシリア・イラクでの戦闘に加えてアフガニスタンイスラム国が進出し始めている現状で下手にイランの影響力を下げてしまうと中東の平和への道筋が遠のくのではないかと不安になる部分があります。しかしながら、現在イラクではイランの影響が大きくなりすぎて政情が不安定になるなどの弊害も出てきています。イランは中東地域での大きなプレイヤーであることから和平プロセスでも大きな役割を期待でき、昨今では安定化のために艦艇派遣が決定している日本としては今後の動向に注目です。