よろず夜話

軍事や自衛隊を多めにしつつ色々な話をするブログ。話の正確性は6割ほど、力を抜いた話ができるようにしたいです。アイコンは陸上自衛隊HPより引用

無人兵器は自衛隊を救えない①

先日バグダディ暗殺任務が公表されましたが、その作戦時の映像が機密情報の解除が進められているそうですね。これからの情報次第なところもありますが、特殊作戦の映像が公開されるのは異例なので注目していきたいです。

さて本題を話させていただくと、最近ミリタリー界隈で無人兵器が現在のトレンドということもあり、とりあえず無人機を持てば良いと言う人もいますが、そもそもとして無人機はそこまで万能であり、自衛隊を救う救世主なのか?ということです。

個人的な見解ですが、結論として

 

  「無人兵器は自衛隊を救えない」

                                と思います。

詳細を話していきたいと思いますが、多くなりそうなので二回か、それより多く分けようと思います。追記:書いて気づきましたが、基本的にシンギュラリティまでの話に近いです。

 

まず、第一に無人兵器は自衛隊を救えない理由の一つ目は現在の無人兵器は思った程安くはないということです。例えば、MQ-9は英語版wikiでは1ユニットあたり15.9Mドル程かかるようで、比較対象としてF-35Aは1ユニットあたり82.4Mドル、35.5Mドル程かかっています。(M=100万、価格はいずれも英語wikiから)

f:id:strider1:20191031152826j:plain

英語版wikiから

※あくまで値段は目安にすぎず 、お互いの任務が少しずつ変わるので、単純な要、不要論に持っていくのは危険ですのでご注意ください。

確かに現有の有人兵器と比べるとアパッチの半分程の価格で済んでいますが、同様の任務を行っていたRQ-1(MQ-1)の値段が4.03Mドルと比べると3~4倍も値段が上がっています。性能の向上に依るものですが、まだ戦闘ヘリや戦闘機と比べると戦闘能力は劣ります。兵器の搭載量やレーダー、センサーは有人機と比べて特段優れているものをMQ-9は所持していません。

つまり無人機の高性能化に伴い今後さらなる値段の上昇が起きることは容易に想像がつきます。値段が上がれば上がるほど質は向上しますが数を調達することは難しくなります。また時代が経つにつれて有人機向けの技術も向上しますので質的な部分においても期待する程の効果が容易にもたらされることもないと思われます。

当然、シンギュラリティは起きると考えられているので質の逆転は起きると考えられますが、現在のように兵器の価格が大幅に安くいられるとは考えにくく、予算に苦しむ自衛隊の調達において救世主になってくれるかは未知数です。

 

今後の内容は次回以降に続きますが、最後に一つ言うことは無人機が自衛隊において役に立たないという訳ではないことを付け加えておきます。

 

無人の兵団――AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争

無人の兵団――AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争